ポートランドに学ぶオープンカフェの空間づくり
ポートランドと札幌
ポートランドと札幌市は姉妹都市なので、職員や市民の交流が盛んです。
交通政策やまちづくりなどでも参考になることも多いです。
2016年に市長と都市計画部局の職員が、ポートランド市開発局を訪れた時の調査報告を以前聞く機会がありました。
パール地区について
パール地区はかつて操車場や倉庫があったまちで、さびれて人が近づかないエリアであった。
パール地区再開発はもっともポートランドらしい成功した事例といわれています。
その仕組みとは
・パール地区の再開発に当たっては、公共交通機関の利用を高めるため、ストリートカー(以前からあるライトレールのMAXとは違います)の建設を進めた。
・自転車や歩行者に優しいまちを指向
・ミクストユース(いろいろな用途をいれる)として、1階は小売店やカフェなど賑わいを生む店舗、2・3階は事務所、その上階は住居やホテル
・居住部分の2割は、所得の少ない層のユニットとして、低所得者と高所得者とのミックスも目指す
・都会ながら、水と緑の多いストリートライフを実現する
・建物や路面が街路空間の活性化を演出するためガイドラインを作成
パール地区の道路空間のデザイン セットバックではなくセットフロント
楽しい街歩きの空間を作っていくには、工夫が必要です。
パール地区では、道路の使い方のルールを設けています。
・歩道は4m程度ありますが、3つのゾーンに区分し
・車道側ゾーンは街路樹、ベンチ、アート、ごみ箱などの公共的なものや店の看板を配置する空間
・中央部は「歩行ゾーン」にして物は置かない
・建物隣接ゾーンは、オープンカフェを配置するなど店の内外の賑わいを連続させる
また建物のルールとして、
・1階には、小売店、カフェ、ギャラリーなど賑わいを生む店舗を入れ、大きな窓をつくる。
・これらのデザインには、補助金がPDC(ポートランド市開発局)からでる
まとめ
日本の再開発では、建物を道路から下げて(セットバック)して、空間を生み出し公開空地としている例が多いです。
しかし、1階の建物の使い方とうまく連動しなくて、いつのまにか物や自転車が置かれ、むだな空間になっているのが多いと思います。
歩いて楽しい、賑わいのある空間は、沿道の建物と一体となって醸し出されるものです。また、通りやエリアの一貫性や連続性も必要です。
エリアマネジメント組織が、地区の価値向上のため、みんなを巻き込んでルールを作っていくことも必要です。
-
前の記事
ベロタクシーは、まちのアクセント 2018.12.14
-
次の記事
札幌まで新幹線が延びると、東京からの所要時間はどうなる 2019.01.07