ポートランドに学ぶオープンカフェの空間づくり

ポートランドと札幌

ポートランドと札幌市は姉妹都市なので、職員や市民の交流が盛んです。

交通政策やまちづくりなどでも参考になることも多いです。

2016年に市長と都市計画部局の職員が、ポートランド市開発局を訪れた時の調査報告を以前聞く機会がありました。

パール地区について

パール地区はかつて操車場や倉庫があったまちで、さびれて人が近づかないエリアであった。

パール地区再開発はもっともポートランドらしい成功した事例といわれています。

f:id:basara88:20181218101448j:plain
travel Portland

その仕組みとは

・パール地区の再開発に当たっては、公共交通機関の利用を高めるため、ストリートカー(以前からあるライトレールのMAXとは違います)の建設を進めた。

・自転車や歩行者に優しいまちを指向

・ミクストユース(いろいろな用途をいれる)として、1階は小売店やカフェなど賑わいを生む店舗、2・3階は事務所、その上階は住居やホテル

・居住部分の2割は、所得の少ない層のユニットとして、低所得者と高所得者とのミックスも目指す

・都会ながら、水と緑の多いストリートライフを実現する

・建物や路面が街路空間の活性化を演出するためガイドラインを作成

f:id:basara88:20181218172848j:plain
travel Portland
f:id:basara88:20181218101701j:plain
travel Portland

パール地区の道路空間のデザイン セットバックではなくセットフロント

楽しい街歩きの空間を作っていくには、工夫が必要です。

パール地区では、道路の使い方のルールを設けています。

・歩道は4m程度ありますが、3つのゾーンに区分し

・車道側ゾーンは街路樹、ベンチ、アート、ごみ箱などの公共的なものや店の看板を配置する空間

・中央部は「歩行ゾーン」にして物は置かない

・建物隣接ゾーンは、オープンカフェを配置するなど店の内外の賑わいを連続させる

また建物のルールとして、

・1階には、小売店、カフェ、ギャラリーなど賑わいを生む店舗を入れ、大きな窓をつくる。

・これらのデザインには、補助金がPDC(ポートランド市開発局)からでる

f:id:basara88:20181218101543j:plain
travel portland
f:id:basara88:20181218101813j:plain
basara88

まとめ

日本の再開発では、建物を道路から下げて(セットバック)して、空間を生み出し公開空地としている例が多いです。

しかし、1階の建物の使い方とうまく連動しなくて、いつのまにか物や自転車が置かれ、むだな空間になっているのが多いと思います。

歩いて楽しい、賑わいのある空間は、沿道の建物と一体となって醸し出されるものです。また、通りやエリアの一貫性や連続性も必要です。

エリアマネジメント組織が、地区の価値向上のため、みんなを巻き込んでルールを作っていくことも必要です。

ベロタクシーは、まちのアクセント

札幌でも走っている「ベロタクシー」。カラフルなデザインで人目を引きますね。どんなシステムで運行されているのか、調べてみました。

ベロタクシー(VELOTAXI)とは

VELOはラテン語で自転車。自転車タクシーですが、車体は普通の自転車とは、全然違います。

f:id:basara88:20181214114421j:plain
出典:VELOTAXIさっぽろ

べロタクシー車両

ベロタクシー@japanのHPで車両を販売してますが、値段は分かりませんでした。百数十万円するようで、中古車は、その3分の1ぐらいです。

流線型の卵型ボディーで、定員は後ろの席に2名(子供も一緒だと3名)。車体は140キロ程度。2人乗車で坂道を登るのは困難なので、電動アシストと変速システムを装備。ウィンカー。ブレーキランプがついています。

ベロタクシー販売 | ベロタクシー®ジャパン【公式】

札幌の運行団体

NPO法人エコ・モビリティ・サッポロが地球温暖化防止を目的に、2008年4月から開始しました。

velotaxi-sapporo.jp

許可が必要なのか?

ベロタクシーは道交法で、自転車と同じ軽車両になるので、運転には免許証はいりません。

公道を走るには、許可がいるのでしょうか?

公安委員会の規則や細則では、「二輪又は三輪の自転車には、運転者以外の者を乗車させないこと」となっていて、ベロタクシーの走行を認めていない地域があります。(運転手だけの走行は可)。

北海道では、「他人の需要に応じ、有償で自転車を使用して旅客を運送する事業の業務に関し、当該業務に従事する者が、1人又は2人の者をその乗車装置に応じて乗車させてい

る場合」は、OKなので、運行できます。

白タクが問題になってますが、道路運送法では軽車両の有料運行は対象外ですのでOK。

走行のルールは、自転車と同じで、車道の左側走行で右折するときは2段階右折です。

事業性は、ともかく個人でも営業運行できそうです。

運賃だけでやっていけるのか

運賃は、初乗り300円+100mごとに50円、貸切30分二千円、1時間三千円となっていて、個人でこれを商売にして生活していくのは厳しいのではないでしょうか。運行に関わる収入で一番大きいのが車体の広告収入です。

NPO法人エコ・モビリティ・サッポロのの資料によると、団体としてはイベント参加、助成金、受託事業なども行っていて、その中の1つの事業です。車両の劣化やドライバーの確保などの課題も抱えているようです。

まとめ

ベロタクシー導入の目的は、環境啓発、観光まちづくり、イベント・プロモーション、広告業などが考えられます。

ベロタクシーの運行を行っているのは、環境系のNPOが多いようです。広告もド派手なものではなく、よくデザインされて街の魅力を引き立てるアクセントになっています。

道路を車とともに走行するので、ドライバーに環境をPRするいいメディアですね。色々工夫しながら事業を続けていってほしいです。

f:id:basara88:20181214115812j:plain
出典:VELOTAXIさっぽろ

狸2条広場 創成川の上に広場を作りました

札幌都心の観光ポイントである狸小路と2条市場を結ぶ創成川の上空に、「狸2条広場」が整備され、地域交流イベントなどが行われています。

f:id:basara88:20181212104656j:plain
出典:札幌公園緑化協会

手前の白いアートは、安田侃氏の作品「生誕」です。近くの病院が寄付してくれました。

・創成川通の連続アンダーパス化と公園化

創成川通は、冬季札幌オリンピックの際に中心部と選手村などがあった真駒内を連絡する道路として昭和40年代に整備されました。8車線の大幹線道路で東西に市街地が分断されていました。

都心交通の円滑化を図ろうと創成川通の連続アンダー化が提案され、市民ワークショップなども行われ、大きな議論となりました。

f:id:basara88:20181212103704j:plain
出典:札幌市
f:id:basara88:20181212103927j:plain
出典:札幌市

以下の方向性が示されました。

・地上部で車道が縮小した部分は、緑地など公園化する

・東西分断を解消するため、交流の場を設ける

このような議論の中で、古くから商売をしてい関係者から、「昔はお祭りになると、川に仮設の橋をかけてサーカス小屋や露店が軒をならべ、にぎやかな場所でだった。整備にあたっては、川に蓋をして広場を作ってほしい。」との声があがりました。

狸2条広場の概要

創成川公園には、3か所の広場がありますが、狸2条広場は南3条の1ブロックのほぼ

半分を広場化しています。(イベント利用可能面積950 ㎡)

イベント利用のためトイレやベンチのほか電源や給排水施設も整備されています。

通常の公園利用に比べ、飲食の提供や広告の掲示など制限が緩和されています。

管理は、指定管理者である札幌市公園緑化協会が行っていますが、あわせて地元商店街や町内会、札幌市などで構成する広場運営委員会において、様々な調整や支援、情報発信を行っています。

f:id:basara88:20181212103055j:plain
出典:札幌市

また、イベントがしやすいように、利用ガイドがあります。

狸二条広場の利用について – 創成川公園

まとめ

東西の分断が解消され、創成川以東地区は、店舗や来街者、住人が増えています。

天気のいい日は、公園のベンチにすわってお弁当を食べている人もいました。昔は車の騒音と排気ガスでありえない事でした。

広場では、年間を通じて様々なイベントが行われています。夏、ビアガーデンもやっていて、オープンな空間のため川を吹く抜けていく風が気持ちいいです。

札幌市都心では、あちこちに色々な広場ができました。良質な公共空間は気持ちいいですね。

f:id:basara88:20181212104815j:plain
出典:札幌公園緑化協会

大通まちづくり会社は、どんなことをしているか その1

大通まちづくり会社の仕事

大通まちづくり会社ができるまでは、商店街や商工会議所のいろいろな取り組みがありました。そのことが、会社設立の原動力になっています。どんな仕事をしているか調べてみました。

さっぽろホコテン

昭和48年から、札幌駅前通と南1条通(大通地区)で、歩行者天国が実施されています。春から秋にかけて、土日に様々なイベントが行われ、札幌中心部の伝統ある催しとなっている。

当初は、2つの通りの商店街が主体の実行委員会が行ってきましたが、現在はまち会社が主体となっています。

長くホコテンが行われてきたこともあり、2つの通りには駐車場の出入り口がほとんどなく、歩行者にはより快適な空間となっています。

2015年に札幌駅前通に市電のループ化により、軌道が設置され電車が運航しています。ホコテンのイベント時には、運行せず、折り返し運転をしています。(10日位)

主なイベント YOSAKOIソーラン祭り、市民音楽祭、四番街まつりなど

f:id:basara88:20181211103052j:plain
出典:札幌大通まちづくり会社

sapporo-odori.jp

大通まちづくり会社は、ホコテンの実績をもとに、道路などの公共空間を使った様々な取り組みを行ってきました。

たとえば、以前紹介した「大通すわろうテラス」。その前段ではオープンカフェの社会実験、荷捌き対策、路上自転車対策、観光バス駐車対策など札幌市や国土交通省と連携して行ってきた実績がありました。

行政との連携を力に、色々な規制(道路占用、使用)を緩和させてきました。

カモンチケット

デパートや大型店では、2千円以上買い物すると1時間駐車無料などのサービスを行っているところが多いです。これを商店街など面的に実施するのが共通駐車券制度です。

札幌商工会議所が中心市街地活性化施策として、大通地区を対象に2004年から共通駐車券制度(カモンチケット)を始めました。会社設立時にまち会社に事業が移管し、駐車券の売り上げの手数料が、まち会社の貴重な収入となっています。

f:id:basara88:20181211103710j:plain
出典:さっぽろ地下街

カモンチケット

■どんなチケットなの?

加盟駐車場に車をとめて加盟店舗でお買い物をすると、お買い上げ金額に応じて共通無料駐車券(愛称:カモンチケット)がもらえます。

チケットは30分・60分・90分の3種類あり、60分、90分は当日限り、30分券は、ためて後で使えます。

もらえるチケットの種類は、加盟店によって異なります。

加盟駐車場では、一度に複数枚のチケットが使えます。(90分を2枚使用して、3時間無料など)

■メリットは?

この駐車券サービスにより、「駐車場さがし」や「駐車場待ち」が減ることが期待され、気兼ねなく色々なお店を歩いて回ることができるようになりました。

■どこでチケットが利用できるの?

実施エリアは、大通地区(北1条~南4条、西1丁目~西7丁目)です。

加盟店舗や加盟駐車場の最新情報は、札幌大通まちづくり株式会社のホームページ(http://sapporo-odori.jp/cmon/)や、市役所本庁舎、各区役所等で配布しているパンフレット等でご確認ください。

出典:札幌市

札幌市内には2つのまちづくり会社がありますが、まず大通まちづくり会社を紹介します

エリアマネジメント

最近、街づくりの現場では「エリアマネジメント」がキーワードになっています。

まちづくりは、行政が勝手に計画や条例を作ったり、〇〇センターという建物を建てるだけでは、地域の魅力や活力は向上しません。

エリアマネジメントは、一定の地域の住民や会社、地権者等が共通の目的のもと、自主的な取り組みを行うことです。このことで、地域課題の解決やエリア価値が向上していきます。

各地で色々な取り組みが進められています。

例えば、住宅地では、街並み景観のルールづくり、地域美化、防犯(子供のみまもり)、良好なコミュニティづくりといった取り組みがあります。

また、中心部の商業地では、「通り」の街並み景観の誘導、地域美化やイベントの開催・広報などの地域プロモーションの展開といった取り組みもあります。

エリアマネジメントの担い手

これまでも、地域のまちづくりの担い手としては、町内会、自治会、商店街、NPO,任意の団体などがあり、関係者により地道な活動が行われてきました。

課題としては、①専任のスタッフがいない(仕事の片手間)、②予算がない(会費、負担金、寄付金のみ)があげられます。

このため、活動には限界と制約がありました。

大通まちづくり会社ができました

札幌市では、大通り地区の6つの商店街が中心になって、2009年に札幌大通まちづくり会社をつくりました。(札幌市も40万円出資しています)

2003年に札幌駅に巨大な商業施設(JRタワー)が、鉄道高架後の在来線跡地に2003年開業し、大通地区への来街者や売り上げの減少が顕著になったことに危機感をもったことが、会社立ち上げのきっかけとなっています。

服部取締役統括部長を中心に専任のスタッフにより運営されています。

自主事業としては、大通地区の共通駐車券(カモンチケット)事業やコワーキングスペース(ドリノキ)の運営、エリアマネジメント広告などにより、活動資金を確保しています。

2011年には、全国ではじめて「都市再生整備推進法人」の指定を受け、国道 36 号札幌駅前通歩道部に食事や買い物などができる施設「大通すわろうテラス」を設置しています。国道にこのような道路には関係のない施設を作るのは、非常に珍しいのではないかと思います。

f:id:basara88:20181206111654j:plain
札幌大通まちづくり会社
f:id:basara88:20181206111821j:plain
札幌大通まちづくり会社

大通すわろうテラス | 札幌大通まちづくり株式会社

札幌市の駐車場制度が変わる 提案制度で最大50%緩和

まちづくりと駐車場

札幌市の駐車場制度の変更について、現在開催されている市議会に提案されたと新聞に載っていました。

今回は、まちづくりと駐車場について考えてみます。

まちづくりを考えていくうえで、車とどう向き合っていくかは、議論の大きなポイントです。

よく、都心部への自動車乗り入れ禁止を安易に主張する人がいますが、荷物の配達や業務交通などが都市の重要な機能を担っていることを考えるとそうもいかないでしょう。

かといって、大量の車が通行していて、歩行者がおちおち歩いていられないような道路であれば、快適な空間とは言えないでしょう。

都心部の駐車場もまちづくりの視点から見る様々な課題を抱えています。

・駐車場が不足すると、路上駐車が増加

・駐車需要を発生させる建物側で自己敷地内に整備するのが原則(駐車場附置義務制度といいます)

・そうすると建物ごとに駐車場が設置され、駐車場の出入り口が街並みや景観を分断

・出入り口は1階に設けられるため、貴重な商業や賑わいの空間として活用できない

・地方都市では、空き地におけるコインパーキングや月極駐車場の乱立し、自動車と歩行者の交錯が多数発生

まちづくりの上から考えると、歩行者優先のエリアには、駐車場を抑制する。駐車場は、都心の外縁部(フリンジ)に共同駐車場をもうけ、集約化する。来街者の公共交通利用を推進することなどが必要です。

f:id:basara88:20181204095459j:plain
国土交通省資料

札幌市の駐車場制度が変更

e-kensin.net

・札幌市の調査では、都心部駐車場は、ピーク時で6~7割の在車率で余裕がある。

施策の方向性としては

・附置義務駐車場の集約化や既存駐車場の有効活用を図る

・小規模駐車場の設置を抑制し、街並みの分断解消を図る

としており、隔地駐車場(敷地から離れた駐車場でも認める)制度、附置義務台数の緩和を行うことを発表しました。

この中で特に、注目したいのが、提案制度です。

・公共交通利用促進や駐車場の集約化などの提案をすれば、最大50%附置義務を緩和するとしています。

f:id:basara88:20181204093558j:plain
札幌市資料

 まとめ

札幌市の取り組みは、まちづくりと駐車場をめぐる課題解決の1つのモデルになると思います。

これらの提案を建物設置者だけで実現するのは、難しいケースもあります。行政や街づくり会社との連携が必要になってくると思われます。

集約の受け皿となる共同駐車場をどう実現していくかなど難しい課題もあります。

例えば再開発事業で公共的な施設として整備する。附置義務駐車場を設置しないで賦課金をはらう方法などについても、今後検討していってほしいです。