MMってなんですか?
- 2018.11.19
- 交通マネジメント
- MM, TFP, モビリティマネジメント
モビリティ・マネジメントです
みなとみらい線ではありません。
Mobility Management(モビリティ マネジメント)を略してMMです
一般の方には、なじみないと思いますが、自治体やコンサルタントで交通計画をやっている人は、知ってます。
これまでの交通対策
昔から、渋滞対策や環境対策として過度な自動車利用を減らすため、色々な対策が行われてきました。
自動車を規制してバスレーンを設ける。公共交通の使用を増やすため、バスターミナルやバス待ち上屋をつくる。料金を安くする(エコ切符など)。便利な乗車カード(SUICAなど)、駅にエレベーターやエスカレーターをつける。鉄道駅に駐車場をつくる(パークアンドライド駐車場といいます)。駐輪場をつくる。色々な施設整備にお金をかけてきました。
自動車利用者へは、今日はノーマイカーデーなので利用を控えましょうとか、もっと公共交通を利用しましょうといったキャンペーンを行ったりもしてきました。
お金をかけて、いろいろやってきましたが、目に見えるような効果は、上がっていないように思えます。
そこでMMです。
今から20年ほど前になりますが、オーストラリアのアデレード市で行われたtravel Blendingという技術が紹介されました。これは、シドニーオリンピック開催を控え、市民へ直接働きかけ、自動車から公共交通への転換を働きかけ、大きな効果があったというのです。
2000年には、札幌市内の小学校ではじめて実施されました。今ではいろいろなタイプのMMがありますが、これは「学校MM」といわれる手法です。
・生徒に環境と交通についての授業を行う(2回)
・家族の1週間の交通行動(7日分)を記録してもらう(交通日記)
・個々の交通行動に対して、「車を使わなくとも、バスや電車を使ったほうがいいですよ」というアドバイスを行う
・アドバイス後、もう1回交通行動を記録する。
このように、交通利用者へ対して、交通行動の変化を促すことを、TFP(トラベルフィードバックプログラム)といいます。
その結果ですが
結果としては,自動車トリップ削減と公共交通機関や徒歩の増加,また,プログラムの前後を比較すると環境意識が高まっていることから,交通・環境教育としての有効性が示唆されている.
となりました。
・子供が家に帰って家族に、「環境のため車の利用を控え、公共交通を利用したほうがよい」と話をすることが家族影響を与えた。
・車に替わる公共交通サービスを知らなかった。
特に、同居している祖父母が、転換した。しかし、母は、転換しなかったとのことです。
全国に広がっていきました
当初は、多額のお金をかけて対策をやってきても大きな効果はあがってないのに、そんな簡単なアンケート(交通日記)をするだけで、効果が出るとは信じられない。との声がありました。
その後、効果が検証され全国で、取り組みが行われるようになり、一定の地域の居住者に対して行う(居住者MM)、職場や企業で行う(職場MM)も行われるようなりました。
この中でも、居住者MMがもっとも多く行われ、推計によれば、自動車利用が15%減少、公共交通利用が30%増加という効果が報告されています。
参考例
まとめ
海外から取り入れた技術ですが、実践のなかで創意工夫され、日本の社会にうまく適用できるよう熟練した技術になりました。手引き、マニュアル、研修会なども行われています。
あなたの地域や職場で、MMが行われたたら、是非参加してみてください。
交通環境が変われば、今よりも居心地のよい、住みたいまちになっていきます。
(追記)
モビリティマネジメントでは、一般の人にはよく分からないため、最近は
「かしこい車の使い方」という言葉を使ってます。
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